日本のベンチャーキャピタルはシードベンチャーには絶対投資しない③


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アメリカのベンチャーキャピタルがシードベンチャーに普通に投資するからと言って、すなわちシードベンチャーに簡単にカネを出すということにはつながらない。逆に、アメリカのベンチャーキャピタルは、投資の判断には極めて慎重であると言われる。

例えば、あるアメリカのベンチャーキャピタルの場合、年間1500社からビジネスプランを受け取り、社内で審査して100社に減らす。そして、担当のキャピタリストが精査し、最終的に投資するのは10社以下になるという。

また、経営者に対する審査も厳しく、過去の実績や人間性、取引先における信用等が、ありとあらゆる方法で調査される。

このように、貪欲と慎重という、一見したところ相反する特徴を兼ね備えたのがアメリカのベンチャーキャピタルであると言えよう。

一方、日本のベンチャーキャピタルの本質を同様に言えば、保守性と慎重、とでもなるのであろうか。双方ともに慎重であることに変わりはないが、一方はハゲタカのように貪欲で、一方は、まるで毒にも薬にもならない中年の銀行員のように、恐ろしく保守的である。

一方がカネになりそうな儲け話を血眼で探している一方、他方は預金者から集めたカネを必死になって守っている。

もしあなたがものすごく有望なビジネスアイデアを思いついたとして、話を持って行くべきは果たしてどちらであろうか。カネになりそうだと判断するや、一方は「親身」になってあなたの話を聞いてくれるであろう。

そして、場合によっては「オレもひとつ手伝ってやろうか?」と、一緒に事業の立ち上げまで協力してくれるかもしれない。

しかし、もう一方に話を持ち込んだとしたら、とりあえず話は聞いてくれるかもしれないが、恐らく次のような返事が来るであろう:

「面白そうですね、とりあえず社内で検討してみますので、事業計画書を提出していただけますか」。

「社内で検討する」というその言葉を信じ、馬鹿正直に事業計画書を提出したとしても、社内で検討されることはまずないであろう。

よしんば本当に検討されたとしても、実際に投資がなされることは、結局のところあり得ないであろう。

なお、アメリカのベンチャーキャピタルの特徴は、過去我が国で大活躍した米系投資銀行にも、そっくりそのまま当てはまるかもしれない。

例えば、ゴルフ場再生をお家芸とするG社や、派手な不動産再生事業で高名を響かすS社などをみていると、まさに貪欲と慎重を地でゆく感を強く覚える。

前にG社の幹部とゴルフをご一緒した際、同社の新たな買収戦略を拝聴したが、「カネになりそうなものなら何にでも投資する」といったスタンスであった。

ほとんどハゲタカそのものであると思ったが、聞いていた当方は、不思議と悪い感情は覚えなかった。むしろ、あっぱれと呼ぶべきとでも言うような、一種痛快な感じを覚えた。

日本のベンチャーキャピタルに欠如しているのは、とどのつまりこのような「ハゲタカ的性格」であると思われる。

カネになりそうなものならシードであろうが何であろうがとりあえず検討してみて、実際に儲かりそうなら本当に投資をする。駄目ならさっさと引き上げ、逆にもっと儲かるというのならどんどんお金をつぎ込む、というのがアメリカのベンチャーキャピタルなのである。

(続く)








三枝
三枝

闘う元銀行支店長・三枝嗣典。関西アーバン銀行で支店長を務め、銀行業務の裏の裏まで知る男。資金調達のお悩み、すべて解決します。

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