日本のベンチャーキャピタルはシードベンチャーには絶対投資しない②


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そして、我が国のベンチャーキャピタルのほとんどは、リミテッドパートナーに機関投資家を選ぶ傾向にあり、しかも、複数の機関投資家を選ぶ傾向にある。

このあたり、高度成長期の上場企業全般における株主の分散化戦略や株式の相互持ち合い戦略に極めて類似しているが、特に銀行系のVCにおいては顕著である。

そして、機関投資家の出資する資金とは、これも一般の個人や法人から集めたお金であり、恐ろしく分散している。

つまり、我が国のVCとは、あたかも銀行が個人や法人の預金を集めて間接的に借主に貸し付けを行っているのと同様、不特定多数からお金を集めた機関投資家からお金を集め、彼らを代行するかたちで、ベンチャー企業に対して投資しているのである。

このような構造のもとでは、シードベンチャーに投資するという「賭け」がなされることは絶対にあり得ない。

言うなれば、我が国のVCのほとんどは、機関投資家というリミテッドパートナーの投資上の「門番」であろう。しかも、その「門番」は、自ら客を見つけに行くこともあるが、基本は客がやってくるのを待っているタイプの門番である。

そして、客を門内に入れるにあたり、預金通帳や手形帳の有無をチェックし、その数字を厳しく確認した上で、ようやく門内に入れるのである。

一方、アメリカにはベンチャーキャピタルが600社以上あるとされるが、そのほとんどが独立系のベンチャーキャピタルである。

また、アメリカのベンチャーキャピタルは、ジェネラルパートナーとリミテッドパートナーでファンドが構成される点は日本と同じであるが、その構成員がまったく違う。

一般的にアメリカのベンチャーキャピタルは複数のプロのキャピタリストで構成され、中には自ら出資してジェネラルパートナーとリミテッドパートナーを兼務するケースもある。従業員数も、大きくても20-30人程度であるとされ、中にはほんの数人で運営されているものもある。

つまり、アメリカのベンチャーキャピタルの本質は、儲かるビジネスを貪欲に探す投資家の寄り集まりである。ベンチャー投資で一儲けしようという仲間同士が集まって共同でカネになるビジネスを見つけ出し、それに投資をして得たリターンをみんなで山分けする、といったイメージである。

自分たちは利益を稼ぎ出すために出資者に雇われており、どこにどう投資しようと自分たちの勝手だという意識が根底にあるのだ。

このように、一攫千金を狙う山師の集団と言うべきアメリカのベンチャーキャピタルと、リスクテイクと損失が絶対に許されない保守的投資家の筆頭と呼ぶべき日本の機関投資家の「門番」と呼ぶべき日本のベンチャーキャピタルとは、言葉は同じであるが、まさしく似て非なるものなのである。

このことを理解せずして、我が国のベンチャーキャピタルはアメリカのベンチャーキャピタルのように積極的にシードベンチャーに投資しないので怪しからんと非難するのは、まったく的はずれであると言うしかない。

日米のベンチャーキャピタルとは、たとえは悪いが、街(マチ)金と都市銀行ほどの違いがあるのである。

(続く)








三枝
三枝

闘う元銀行支店長・三枝嗣典。関西アーバン銀行で支店長を務め、銀行業務の裏の裏まで知る男。資金調達のお悩み、すべて解決します。

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